谷川俊太郎 『あな』【あらすじと感想】

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今回は、一際シンプルな表紙に、シンプルに「あな」という題名の絵本。

地味なビジュアルに、どんな内容なのか気になる一方。

初めてこの絵本を見る人は「欲しい!」とすぐにはならない一冊かもしれない。

しかし、この絵本は私の幼少期の記憶に鮮明に残っている。

私の中では間違いなく好きな絵本に入る1冊。

そんな「あな」という絵本の魅力に迫る。

絵本紹介

『あな』

谷川俊太郎 作

和田誠 画

出版社 福音館書店

出版年 1983年

対象年齢 4歳から

あらすじ

ひろしが掘ったのは、自分だけの穴でした
日曜日の朝、何もすることがなかったので、ひろしは穴を掘り始めます。途中、おかあさんやいもうとのゆきこ、となりのしゅうじくんやおとうさんがやってきて、いろいろなことを言います。でも、ひろしはただ穴を掘り続けます。あなの中に座り込むと、静かで、土はいいにおいがしました。ひろしは思います。「これはぼくのあなだ」。穴から見上げる空はいつもよりもっと青く、高く思えました。そして、穴から出たひろしは……。

引用 福音館書店

見どころ

タイトルに「あな」とあるように、主人公ひろしはひたすらに穴を掘り続けます。

途中、家族や友達がやってきて色々なことを言いますが、ひろしはそっけない返事をします。

そして、またひたすら穴を掘り続けます。

時間は進んでいるんですが、穴を掘っている場面がそのままの画角で描かれています。

絵本を捲るたびに穴がどんどん深くなっていくのも面白いです。

また、1ページごとに小さな変化があったりと、シンプルな画角だからこそできる表現がされています。

和田誠さんのしっとりとした絵と、谷川俊太郎さんの言葉選びが、相性ぴったりで読む人を惹きつけます。

ただひたすら穴を掘っている絵本ですが、どこか奥深く、何かを感じれたような感じなかったような。

そんな絵本です。

感想

私は、この絵本を読んだのは幼稚園の頃だったと思います。

シンプルだけどどことなく奇妙で、どんな絵本なんだろうと興味をそそる表紙。

ただひたすらに穴を掘るひろしのお話しなんですが、子供ながらにその奥深さを感じていたのかもしれません。

大人になって、子供に読み聞かせをしようと図書館にいった際、久しぶりにこの絵本を見つけると、自然と手に取り借りて帰っていました。

懐かしいな、と思いながら子供に読み聞かせをしました。

内容はほとんど覚えていましたが、やはり絵本は何度読んでも良いものです。

和田さんの描くひろしや登場人物の微妙な表情や、谷川さんの淡々と詩のように綴られる言葉。

これが大人になった今ではさらに心地よく、奥深さを感じました。

また、このひろしの行動は息子にも通ずるものがありました。

息子も、通っている園でひたすら砂山を掘っていることがあります。

周りになんと言われようと、ひたすら穴を掘っています。

掘って何かをするわけでもなく、ただ、自分が、自分のために掘る穴なんです。

それは、親が買ってあげたおもちゃでは到底満たされないような欲求を埋めているようでした。

息子は穴を掘り終わった瞬間、どんなことを感じたんでしょうね。

ひろしも、穴を掘り終わって、その中に入った時、どんなことを感じたんでしょうね。

きっと、穴を掘り続けた人にしか分からないことなんでしょうね。

その先に見える景色や気持ちは。

この絵本を読んだ息子も、ひろしと気持ちが共感できてれば良いなと思います。

さいごに

地味な絵本ですが、子供から大人まで楽しめる奥深い1冊です。

和田さんの挿絵と谷川さんの言葉の融合が素晴らしく、本当に名作だと思います。

何か、気持ちをスッキリさせたい時におすすめの1冊です。

最後まで、ご覧になってくださり、ありがとうございました。

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